こどもの脳の発達のために重要な役割を持つ栄養素をご紹介いたします。
脳が最も発達する時期にどのような栄養が働いているか?
どんな栄養を積極的に摂れば良いのか?
文献情報も交えながら紹介したいと思います。
脳は1~3歳頃に著しく成長します。
生まれてから2歳頃には視覚や聴覚、言葉の理解などに関わる後頭葉・側頭葉・頭頂葉の成長がはじまります。
3歳頃からはカラダの動きに関わる頭頂葉の運動野の成長がピークとなります。
前頭前野は最も遅く、乳児期から20歳前後まで成長します。1)
脳の発達には様々な栄養が必要となります。今回のメールでは特に重要な栄養素をいくつかご紹介いたします。
■EPA・DHA
脳の働きに良い栄養素と言われると真っ先に浮かぶのがEPA・DHAかと思います。
魚の脂であるEPA・DHAは脳の機能を保護する働きがあります。
また、脳細胞を活性化させる働きもあり、集中力・判断力・記憶力・情報処理能力などの
脳機能の働きを高めるので学力向上にもつながると考えられています。
ADHDと診断された子どもでは血中のEPA・DHAが低い傾向にあることも分かっています。2)3)
■たんぱく質
筋肉や臓器など組織を作るために重要なたんぱく質は、
セロトニンやドーパミンなど脳内ホルモン(神経伝達物質)の材料となるため、
脳の発達にも欠かせない栄養素です。
たんぱく質が不足すると脳内ホルモンがうまく働かず意欲や集中力の低下、心の不安定に繋がります。
また、グルコースが不足した際には、脳が働くためのエネルギーにもなります。3)
■鉄分
乳幼児期に鉄分が不足していると、学習能力に影響が出る可能性が示唆されています。
また、鉄分は血中酸素の運搬を助けるため、脳に必要な酸素を供給する働きもあります。
鉄分不足では体の貧血症状が出る前に、記憶力や情報処理速度の低下、
いらだち、気力の低下など、脳機能に影響が出ることが分かっています。2)4)
■亜鉛
亜鉛は記憶を司る海馬に多く存在しており、不足すると記憶力の低下に繋がります。
また、ドーパミンなどのホルモン分泌がうまくできなくなり、
やる気の低下やうつに繋がる可能性があります。
胎児期や乳幼児期の脳が急激に発達する時期に亜鉛が欠乏すると、
神経細胞の分化やシナプス形成が進まず、認知機能低下や学習障害のリスクが高まるとされています。3)5)
■食物繊維
腸内細菌の代謝物が体内の様々な経路を介して脳の働きを左右します。
「腸脳相関」と言われているように、腸と脳には密接な関係があります。
そのため、腸内環境を整えることで脳機能によい影響を与えます。
ヒトは生まれてから様々な菌を取り込み腸内細菌叢を形成します。
新生児から乳幼児期にかけて急速に形成が進み、3~5年で安定化します。
腸内細菌叢の多様性が高いほど認知機能が優れていることが報告されています。2)6)
■ビタミンB群
血液を作ったり脳機能を維持する働きのあるビタミンB群は、欠乏すると集中力や記憶力の低下に繋がります。
また、神経伝達物質の合成を助ける働きもあり、脳を健康に保つために重要な栄養素です。
ビタミンB12の不足により、記憶力や注意力、学業成績などで認知機能障害のリスクが高まることが報告されています。4)7)
■ビタミンD
脳が発達する時期にビタミンDが不足していると自閉症や発達障害、統合失調症になりやすいことが分かっています。
脳にはビタミンDのリセプターがあり、ビタミンDは脳に直接作用します。
大人ではビタミンD不足によりアルツハイマー型認知症やうつ病になりやすいことが分かっています。4)8)
脳の発達と栄養 関連文献については
こどもの脳の発達に重要な栄養素 ②で書きたいと思います
【参考】
1)子どもの脳は3歳までに約90%ができあがる⁉【0〜6才まで】脳の発達時期に合わせたかかわり方|たまひよ
2)「脳・体・心」を強くする!小児科医が教える子どものごはん/世界文化社
3)小児科医が教える「頭のいい子」が食べている最強レシピ/宝島社
4)医師が教える子どもの食事50の基本/ダイヤモンド社
5)Zinc deficiency and neurodevelopment: the case of neurons – PMC
6)Gut microbiota maturation and early behavioral and cognitive development | Scientific Reports
7)Effect of vitamin B12 deficiency on neurodevelopment in infants: current knowledge and possible mechanisms – PubMed
8)Vitamin D: Brain and Behavior – PMC

