体幹トレーニングとして,体幹の剛体化を目的としてトレーナーやメディアがプランクを指導している場面が多く見られます。
体幹屈曲筋・伸展筋の筋力トレーニングとして活用されるのでしょう。また,腹横筋の活動促通を目的としたDraw-in(ドローイン)もよく行われてます。
プランクと筋活動レベル(下代と谷本 4)より改変)
プランクは「負荷のかかっている方向に対する筋力発揮で姿勢を保っている」ので、フロントプランクであれば,重力で体幹が伸展していく力が作用するのに対して,腹筋群による体幹屈曲の力を発揮させ姿勢維持しています。
腹筋群,背筋群をBracing(ブレーシング)で「どの方向から力を受けても体幹が変形しないように剛性を高めている」という状態ではないので、競技動作における体幹の安定性の獲得に寄与するトレーニングになっているとは考えにくいのが現状です。
プランクで体幹の深部筋,いわゆるインナー マッスルが使われるというイメージが強く、運動指導の現場でもそのようによく言われるが、繰り返しになりますが、プランク系のトレーニングは重力負荷に対する筋力 発揮で姿勢を支えているのであるから,脊柱に対して長いモーメントアームを持つ表層のアウターマッスルが主動となってしまいます。
実際に筋活動レベルを調べた研究結果では(上記図参照),フロントプランクでは腹直筋の筋活動 は28% MVC,腹横筋は17% MVC,バックプランクで は脊柱起立筋は 59% MVC,腹横筋は12% MVCと深部筋よりも表層筋が主動となっている。
一般的な体幹トレーニングの流行の背景と効果に関する考察として、 プランクでは実際には(サッカーやラグビーでの身体のぶつかり合いなど)体幹を剛体化させることは可能か?という効果については、 理屈からも実証からも大幅な剛体性は上がらないと考えられますね。