今回は当ジムの「もう一つの重要な顔」について少し書きたいと思います。
当ジムは、プロアスリートや同業のトレーナーが多く通う場所、と思われがちです。しかし実は、ジュニア世代のパーソナルトレーニングも高い熱量で継続しています。
私たちが子どもたちに提供しているのは、決して「大人のミニチュア版の筋トレ」ではありません。人間が本来行うべき、現実世界に適応するための軀體(からだ)作りです。
■ 特別なことではなく、人間本来の「大きな動作」を鍛える
メニューの根幹にあるのは、極めて原始的でありふれた、しかし現代の子どもたちから失われつつある「タスク(課題)」です。
- 木登りをする
- 物を投げる
- 足場の悪い中で、物を持ち上げる
- 道具を鋭く振る
これらは決して特殊な運動ではありません。特定の筋肉をマシんで孤立させて鍛えるのではなく、人間本来の「大きな動作」のなかで、いかにエネルギーをロスなく伝え、怪我をしない軀體を作れるか。そこに焦点を当ててメニューを構成しています。



- 足裏のハックと3D負荷あえて裸足になり、足元の不安定な波状のマットを踏みしめる。この環境で感覚入力(プロプリオセプション)を最大化させながら、高重量のViPRを頭上に持ち上げ、ダイナミックに振り回します。これはまさに、不規則な環境に適応するためのLMT(ロードムーブメントトレーニング)そのものです。
- 自重の精密なコントロール最新のエンコンパスにうつ伏せになり、斜度による負荷に対して自身の重さをコントロールしながらケーブルを引く。背面のキネティック・チェーン(運動連鎖)を統合する高度なアプローチです。
- 爆発的な叩きつけと減速 床から重りをダイナミックに引き剥がし、股関節屈曲(ヒンジ動作)で全力で叩きつける。先日のフェニックス大磯での16歳以下ジュニアテニス優勝や関東大会出場を支えたのも、こうした「動きの統合」にあります。
■ 技術の前に、徹底する「規律」
そして、トレーニングのロジックや数値以上に、私が子どもたちに対して一番五月蝿(うるさく)く言い聞かせていることがあります。
それが、「礼儀」です。
ジムに入ってきた時の挨拶、道具を雑に扱わない感謝の姿勢、大人に対する人としての振る舞い。ここを怠る子には、容赦なく声が飛びます。言うなれば、私は彼らにとっての「近所の怖いおっさん」です(笑)。
どれだけ運動神経が良くても、挨拶もできない、道具も大切にできない人間が、厳しい勝負の世界や社会の要求に応えられるはずがありません。安易な利便性に流されず、自己の規律を優先する精神的な土台(マインド)を、この時期から徹底的に叩き込みます。
一生動ける「自律」の根を張る
形だけの綺麗なポーズを追うのはただの作業です。
足場の悪い環境でバランスを死守し、重力を味方につけて道具を振る。この「挑戦と成功」のサイクルを通じて、子どもたちは自らの肉体を戦略的にマネジメントする知性を学びます。
33年の指導歴のなかで確信しているのは、子どもの頃に刻まれた「正しい動きの回路」と「礼儀の規律」は、一生モノの資産になるということ。
未来を担う子どもたちにとっても、時に厳しく、時に寄り添う最高のトレーニングパートナーであり続けたいと思います。

